片舷斉射
2007年4月21日 海のなかの見えない航路 コメント (3)
大海戦は‘大航海時代Online’のなかで
ずっと大きな目玉イベントの位置を
保ちつづけているけれど、
ゲーム内世界の進展にあわせて少しずつ
その姿を変えきてもいる。
ゲームのオープン当初はなんであれ
みなが新鮮に感じられていたのに対し、
いまでは履歴の長いプレイヤーのほうが多いから、
かつて大海戦の時期にはサーバ全体が包まれていたような高揚感が
もうなくなりかけているとしても、
それは仕方のない部分もかなりある。
そのかわり前より面白くなっている部分もけっこうあって、
数ヶ月に一度おこなわれる船種の追加や仕様の変更などによって、
たとえば新船の改造具合をいろいろと試したり、
これまでになかったような戦法を探ったりという
楽しみかたは、たぶんずっと幅広くなっている。
けれどもこのことはオーソドックスな戦術が
すでに浸透していることの裏返しとも言えて、
たとえば戦列艦艦隊によるペア戦術は、
その代表例といってもいいだろう。
これは戦列艦の5隻艦隊が2つずつペアとなり
計10隻を1単位として行動するゲーム内では基本的なもので、
仕様による制約のなかプレイヤーのあいだで自然に共有されてきた。
オープンからある程度の時間をへて戦列艦が登場し
やがて艦隊戦術の基本となったあたりなど、
‘大航海時代Online’が背景とする史実の流れをきちんと
踏まえているようで、海洋史に造詣が深いひとからみてもなかなか
うならせられる展開なんじゃないかとおもう。
大航海時代のはじめ、
時代と社会の要請から外洋航海に耐える船として
まずキャラベル船やキャラック船が発展し、大型化していった。
以下しばらく史実上の船の話を続けるけれど、
当初洋上での戦闘は相手の船に乗り込んで斬り結ぶことが主体であったから、
そうした海戦における優位性から船尾が巨大化し、
高くそびえる船尾楼となっていく。
こうしてある意味で大航海時代の象徴とも言える、
かのガレオン船が史上に姿を現した。
技術革新にともない攻城砲をそのまま船に搭載し、
敵船へと砲弾を撃ち込む戦術もこの頃には主流となっていた。
さらに火器の性能が上がり、砲撃こそが戦闘の決着そのものを
左右するようになると、今度は重厚な船尾楼が
操舵能力を妨げるだけの邪魔物とみなされるようになる。
1653年6月2日、北海、ガバートバンクにて。
当時戦端を開いていたオランダ艦隊に対し、
イングランド海軍提督ロバート・ブレイク率いる艦隊が、
整然と単縦列を組んで接近し、同時に片舷斉射した。
それまで洋上での戦闘は船同士が個別に至近の敵船を見定めて戦うのが
常套だったから、この戦法を初めて目にしたオランダ側の水兵たちは
おそらくかなりの衝撃を受けただろう。
海戦史上これは単縦列陣形による最初の一斉砲撃とされているのだけれど、
これ以降、戦闘帆船は航行性能と搭載砲門数のみに特化した
改良を施されてゆくことになる。
船首から船尾まで水平にのびる上甲板。
舷側に長くつらなる砲口の列。
文字通り、戦列艦(The Ship of the Battle Line)の登場である。
したがってほんらい戦列艦艦隊による戦闘とはもっぱら
前後にのびる単縦列の戦隊同士によるあくなき砲撃戦を意味するのだけれど、
‘大航海時代Online’ではこの点がだいぶ違ってくる。
端的に言えば、戦列艦による艦隊戦においても船体個別の舵切りが
依然非常に重要な要素を占めている。
戦闘中の船にあまり動きがなく、互いに撃ち続けるだけでは
いまいち面白味に欠けるという配慮もあったのかもしれないけれど、
少なくない軍人プレイヤーにとってこのことはたぶん、
もう1年2年と遊び続けているのにいまだ色あせない
このゲームの魅力に直結してもいる。
そしてこの、背景となる史実や他のゲームにはない
‘大航海時代Online’だけに生じた固有のスタイルというか
プレイ感覚という話は、戦闘システムにかぎらず冒険や交易といった他の面でも
いろいろと見い出せるもので、見つけるたびにこれはいったい
何だろうと考えることもいつの間にか楽しみの一つとなっていた。
それはそうと先週北海でおこなわれた、オスロをめぐる大海戦。
わたしの艦隊では新しい試みとしてペア戦術から若干離れ、
10隻を4-3-3隻の3艦隊に分け、さらにうち1、2隻が旗艦への追従を切って
単独で交戦もしくは援軍参加をしていくという、
はたから見たからかなり酔狂かもしれない試みに手を出した。
アイデアそのものは数ヶ月前からあったのだけれど、
思いつきのレヴェルと実際にやるのとではやはり相当の開きがある。
実行にはそれなりの準備と艦隊内での意識共有が必要だけれど、
中日には海戦全体のMVPも出せたし、艦隊の錬度次第で
これは今後活きる要素もありそうな試みだった。
また個人的に今回は、パソコン環境が新しくなってから
初の大海戦参加でもあった。
新環境でみる会戦海域の様子はガラリと変わり、
わたしの船も単独で交戦を仕掛けてみたりした。
少しはしゃぎすぎたかもしれない。
ずっと大きな目玉イベントの位置を
保ちつづけているけれど、
ゲーム内世界の進展にあわせて少しずつ
その姿を変えきてもいる。
ゲームのオープン当初はなんであれ
みなが新鮮に感じられていたのに対し、
いまでは履歴の長いプレイヤーのほうが多いから、
かつて大海戦の時期にはサーバ全体が包まれていたような高揚感が
もうなくなりかけているとしても、
それは仕方のない部分もかなりある。
そのかわり前より面白くなっている部分もけっこうあって、
数ヶ月に一度おこなわれる船種の追加や仕様の変更などによって、
たとえば新船の改造具合をいろいろと試したり、
これまでになかったような戦法を探ったりという
楽しみかたは、たぶんずっと幅広くなっている。
けれどもこのことはオーソドックスな戦術が
すでに浸透していることの裏返しとも言えて、
たとえば戦列艦艦隊によるペア戦術は、
その代表例といってもいいだろう。
これは戦列艦の5隻艦隊が2つずつペアとなり
計10隻を1単位として行動するゲーム内では基本的なもので、
仕様による制約のなかプレイヤーのあいだで自然に共有されてきた。
オープンからある程度の時間をへて戦列艦が登場し
やがて艦隊戦術の基本となったあたりなど、
‘大航海時代Online’が背景とする史実の流れをきちんと
踏まえているようで、海洋史に造詣が深いひとからみてもなかなか
うならせられる展開なんじゃないかとおもう。
大航海時代のはじめ、
時代と社会の要請から外洋航海に耐える船として
まずキャラベル船やキャラック船が発展し、大型化していった。
以下しばらく史実上の船の話を続けるけれど、
当初洋上での戦闘は相手の船に乗り込んで斬り結ぶことが主体であったから、
そうした海戦における優位性から船尾が巨大化し、
高くそびえる船尾楼となっていく。
こうしてある意味で大航海時代の象徴とも言える、
かのガレオン船が史上に姿を現した。
技術革新にともない攻城砲をそのまま船に搭載し、
敵船へと砲弾を撃ち込む戦術もこの頃には主流となっていた。
さらに火器の性能が上がり、砲撃こそが戦闘の決着そのものを
左右するようになると、今度は重厚な船尾楼が
操舵能力を妨げるだけの邪魔物とみなされるようになる。
1653年6月2日、北海、ガバートバンクにて。
当時戦端を開いていたオランダ艦隊に対し、
イングランド海軍提督ロバート・ブレイク率いる艦隊が、
整然と単縦列を組んで接近し、同時に片舷斉射した。
それまで洋上での戦闘は船同士が個別に至近の敵船を見定めて戦うのが
常套だったから、この戦法を初めて目にしたオランダ側の水兵たちは
おそらくかなりの衝撃を受けただろう。
海戦史上これは単縦列陣形による最初の一斉砲撃とされているのだけれど、
これ以降、戦闘帆船は航行性能と搭載砲門数のみに特化した
改良を施されてゆくことになる。
船首から船尾まで水平にのびる上甲板。
舷側に長くつらなる砲口の列。
文字通り、戦列艦(The Ship of the Battle Line)の登場である。
したがってほんらい戦列艦艦隊による戦闘とはもっぱら
前後にのびる単縦列の戦隊同士によるあくなき砲撃戦を意味するのだけれど、
‘大航海時代Online’ではこの点がだいぶ違ってくる。
端的に言えば、戦列艦による艦隊戦においても船体個別の舵切りが
依然非常に重要な要素を占めている。
戦闘中の船にあまり動きがなく、互いに撃ち続けるだけでは
いまいち面白味に欠けるという配慮もあったのかもしれないけれど、
少なくない軍人プレイヤーにとってこのことはたぶん、
もう1年2年と遊び続けているのにいまだ色あせない
このゲームの魅力に直結してもいる。
そしてこの、背景となる史実や他のゲームにはない
‘大航海時代Online’だけに生じた固有のスタイルというか
プレイ感覚という話は、戦闘システムにかぎらず冒険や交易といった他の面でも
いろいろと見い出せるもので、見つけるたびにこれはいったい
何だろうと考えることもいつの間にか楽しみの一つとなっていた。
それはそうと先週北海でおこなわれた、オスロをめぐる大海戦。
わたしの艦隊では新しい試みとしてペア戦術から若干離れ、
10隻を4-3-3隻の3艦隊に分け、さらにうち1、2隻が旗艦への追従を切って
単独で交戦もしくは援軍参加をしていくという、
はたから見たからかなり酔狂かもしれない試みに手を出した。
アイデアそのものは数ヶ月前からあったのだけれど、
思いつきのレヴェルと実際にやるのとではやはり相当の開きがある。
実行にはそれなりの準備と艦隊内での意識共有が必要だけれど、
中日には海戦全体のMVPも出せたし、艦隊の錬度次第で
これは今後活きる要素もありそうな試みだった。
また個人的に今回は、パソコン環境が新しくなってから
初の大海戦参加でもあった。
新環境でみる会戦海域の様子はガラリと変わり、
わたしの船も単独で交戦を仕掛けてみたりした。
少しはしゃぎすぎたかもしれない。
コメント
戦列艦(The Ship of the Battle Line)の基本戦則は汽船時代になっても受け継がれ、the battle line ship の通称が転じてbattle ship、すなわち「戦艦」の時代へとつながり現代にいたります。思っているよりずっと地続きなんですよね、いまとこの時代って。
楽しかった!
4−3−3の作戦は数が有利な側にはすごい良い作戦やと思うなぁ。
交戦機会増えるし被せチャンスも倍増するしねぇ。
逆に数が劣勢でこんなんやったらいいカモになってまうねw
国の特徴活かした素敵な作戦やなぁ。
よく考えたもんやw
あと究極の戦術として、2隻x5艦隊というのもありますね。これは交戦された相手からみると、
スライムAがあらわれた
スライムAはなかまをよんだ スライムBがあらわれた
スライムBはなかまをよんだ スライムCがあらわれた
スライムCはなかまを(以下略)
……となり、何のゲームをしているのかわからなくなるという効果があります。ええ。
あ、このたとえ話はたしかbyレムオンさん