麾下の破軍
  ノトスサーバきっての大海賊・鄭和さんの休止表明、ゲーム内ではどこでも一度は話題になってそうですね。ご本人のブログ(右欄にリンク)に付いた大量のコメントからも、その影響力が窺えます。当該記事では私掠海賊の立場からみた修正方針の問題点が綴られ、賛否両論の反応も多々寄せられていますが、今回はそれに関連して。とはいえgoodbyeの直接的な感想は当該記事のコメント欄に述べたので(20番目くらい)、ここでは省略。

▽ゲームの論理
  DOLはあくまで大航海時代という時代背景に誠実なMMOであってほしい、と個人的には願っています。もともと光栄は歴史SLG(歴史シュミレーションゲーム)というジャンルの立役者ですから、余計にこの面での期待値が高いのかもしれません。
  SLGの質としてまず鍵となるのは、舞台となる実社会の複雑な構造をいかにシンプルで楽しめるものへとデフォルメさせているか、これに尽きると言って良いでしょう。DOLはMMOであって歴史SLGとは言えない要素も多々あるものの、こうした点において同様の質を高く保つことがゲームの魅力に直結していることは疑いのないところです。
  従って大航海時代における冒険家や海賊、交易商人等への思い入れが強いプレイヤーほどこの要求はより繊細でハードルの高いものとなるわけですが、その一方でゲーム自体はあくまで商品なので、一部のそうしたプレイヤーの声にのみ耳を傾けるわけにはいきません。こうした個々のプレイヤーの感覚と運営論理とのズレが、鄭和さんの記事の場合は「軍人の存在意義」へと帰結している、というのがわたしの見方です。

▽上納品が問題なのか
  そしてこうした見方をとった際に、当該記事コメント欄で目立つ言及のうち疑問となる点が二つあります。現在の仕様について「要望を出しましょう」という意見と、「上納品が原因」という指摘。(単に休止の理由を述べているだけの記事に、不快・わがまま・尊大など情操的な兆候を深読みした旨のコメントとかはふつうにだめ。)
  前者については、物言わぬユーザーこそが最大の顧客層であり、要望なりクレームなりの受け皿を置くのは販売戦略の基本に過ぎないという話。(一部のユーザーにその実効性を信じさせること自体が実質的な目的で、局所的な障害を除けば彼らから指摘される問題点以上の問題をリサーチ済みなのが常。そしてそこから提出された改善策が、要望を出す種のユーザーにとってはあたかも自分への反応にも見えるという仕組み)
  後者については、ほんとうの問題は上納品の使用時効果にではなく、‘上納品の携帯’という選択肢の登場により失われたものにあるんですよね。とすればそれは基底にある運営側の修正方針自体が問題と言うに等しいため、仮に上納品の仕様に海賊の側からみて有利な修正が入った場合、方針に変更がない限り確実にそれ以上の下方修正が他の面で行われると考えなければ首尾一貫した意見とはなりません。
  よってプレイするうえでは目下上納品が興醒めに感じられるとしても、それを問題の原因と考えることは意味を持たないし、ましてやそれを問題とした要望など現実的には何も言っていないのと同じようにも思えます。上納品の仕様を変えればいいという話でも、なくせばいいという話でもたぶんない。
  んじゃぁ、どうすりゃいいってんだてめぇはよぉぅ。

▼オスマン=トルコ帝国新実装
  そこでそうした問題群の一発解決をも狙ったのか、DOL新章では従来とは異なるプレイ感覚を味わえる国が新たに追加されるようですね。いずれも上級者向けとなりますが、まずはオスマン=トルコ帝国からその特徴を見ていきましょう。以前から長く噂されていただけに、これは大注目ですね。
・すべて危険海域: 既存の国家がもつような安全海域はありません。どこにいるときも海賊の襲撃には注意しましょう。
・対人用上納品の使用不可: 価値観・習俗の違いから、異教徒に安易に屈することを禁じています。海賊たちもこのことを知っているため、他国の商船よりも狙われやすくなるでしょう。減少傾向にある海賊たちとの凌ぎ合いのスリルを取り戻したいかたにお奨めです。またこのリスクと引き換えに、大航海時代の航海者として正味の誇りを得ることができます。
・NPC強襲・奇襲仕様の変化: NPCのオスマン艦隊・イスラム私掠艦隊から襲われることはありません。よってアフリカ北岸・紅海・ペルシャ湾などでは比較的快適な航海が楽しめます。代わりに敵性国家の船として、全世界の自警団・賞金稼ぎなどから追われることになるでしょう。

▼スウェーデン王国新実装
  またこれに加え、北欧の雄スウェーデンも新たに列強に加わります。少数精鋭の熱いプレイを望むかたにお奨めです。小国家のアドバンテージを活かして、新海域では投資戦における台風の眼となることも期待できます。
・バルト海・ボスニア湾の安全海域化: スウェーデン所属の航海者のみ、バルト海およびボスニア湾が安全海域となります。またNPCのヴァイキング・スウェーデン傭兵艦隊等から襲われることはなくなります。
・新領地港の実装: レイキャビク(アイスランド)となぜかスタンリー(フォークランド諸島)が領地港として加わります。がんばってください。
・固有の航海術: ヴァイキング由来の航海術を有するため、操帆・測量・生存の各スキルに+1のランクボーナスが付きます。嬉しいですね。
※ただしストックホルムはすでに投資済みの港であることから、代替案としてマルタ騎士団(本拠地バレッタ)もしくはロードス騎士団(本拠地ロードス)の実装も検討中のようです。その場合には領地港としてキプロス(キプロス島西南)となぜかマレ(モルディヴ諸島)が加わります。なぜでしょう。

▽画像とおまけ
  今回は以上です、はい。すべてを同一ルール下に収めることの無理については前回記事も参照のこと。異なる多様なルール下にあるプレイヤーの並存こそが極私的なDOLの理想像かもしれません。国籍ももっとたくさんあっていい。画像はヘッダー交換用。以下おまけ。

  Pirate Island : http://www.discoverpirateisland.com/

カリブ海に浮かぶ海賊島を衛星写真で確認できます。[START]→グーグルアースを既に持っている人は[I DO HAVE IT (PC USER)]、持っていない人は[I DON’T HAVE IT]からダウンロードしてください。ネタ元はフレのロンさん(DOL引退済み><)のブログから。( ttp://lonhou.exblog.jp/4353851/ )

魚は水に飽かず
  3週遅れの大海戦報告、標的港はジェノヴァ。遅すぎです。

   初日   : 53勝  7敗 13分け  勝利ポイント  92  戦功 122
   中日   : 55勝  9敗 14分け  勝利ポイント  99  戦功 120
   千秋楽 : 68勝  7敗 11分け  勝利ポイント 121  戦功 138

▼海戦総覧:
  フランスが初めて主導する大海戦、標的港は因縁のジェノヴァ(ヴェネツィア同盟港)となりました。連盟はフランス+イスパニア vs ヴェネツィア+イングランド。会戦海域はリグリア海およびティレニア海。対人戦闘の主戦局は、マルセイユ−ジェノヴァ間とチュニス−カリアリ間に分かれました。ここまで明瞭な主戦局の分立は珍しく、殊に大型クラスでは個々の艦隊がどちらで戦うかの選択が大局的にもかなり意味をもちました。自艦隊では3日目大型クラスの中盤まで戦績としては停滞していたのですが、中盤から南方へ移動したことで極端な連勝状態に。通してみると本拠地と標的港を抱える北側エリアのほうが、比較的強力な艦隊が集中している印象がありました。

  ともあれ前回大海戦の終結から本大海戦の告知までが10日間しかなく、とりわけ前回までほぼ半年間‘干されていた’イスパニアプレイヤーにとっては慌しさばかりの目立つ海戦でした。また他サーバを含めた過去実績を見渡すと英+ヴェネの組み合わせはかなり固定化されていることがわかります。とすればそこから弾かれるネーデルランドなどただでさえ連盟投票における一票の重みが強いため、現状では余計に参加頻度が減ることになるでしょう。しかし3ヶ国 vs 3ヶ国にできない主因としてサーバ落ちリスクの回避があると憶測すれば(他に積極的な理由が何ら思い当たらない)、今後は2 vs 2 の構図を継続したまま大海戦の頻度自体を増やすことも予想されます。その場合でも間隔の不安定さは変わらないでしょうから、こうした間隔の置き方や連盟システムの偏りはプレイヤーに不満を負わせた状態が今後も維持されそうですね。

▼艦隊総括:
  前回大海戦から日が近いこともあり、とりたてて新たな要素は見当たらず。他艦隊にラ・ロワイヤルが増えたせいか、大型クラスがやや戦いやすくなった印象があるくらい。大浸水、大混乱などオプションスキルの登場による脅威も前回以上のものではなく、従来の戦いかたを大きく変えるほどには至らない感じです。
  初日は自艦隊(援軍側)、2・3日目はペア艦隊(仕掛け側)からMVPを出せました。両提督の技量も一層安定してきた観があります。なお画像下端の戦績SS、3日目は報告前に撮り忘れたのでギルドにて事後撮影したものを載せています。艦隊メンバーのみなさん、また参加したプレイヤーのみなさん、おつかれさまでした。

▼個人戦績:
   初日   : 与撃沈/拿捕 20  決定打  7  被撃沈 3  与クリ 33  被クリ  7
   中日   : 与撃沈/拿捕 18  決定打  5  被撃沈 9  与クリ 26  被クリ 14 
   千秋楽  : 与撃沈/拿捕 19  決定打  3  被撃沈 6  与クリ 22  被クリ  9

  今回はおまけが長いのでちゃっちゃといきます。個人的な戦いかたとしては、初日はいつも通りの提督狙い、2・3日目は少し撃沈数のほうを意識してみました。結果は見ての通りです。単に決定打が減り、被撃沈数が増えました。(笑) 戦功数をみても初日はMVPと3差だったのに対し、3日目は20の差が付きました。艦隊自体の練成度が高いため、余計な力みはもたないほうが全面的に良いようです。
  個人戦績の限りで言うと近々PCを買い替える意思が固まったため、DOLベンチマーク合計2ケタの状態から抜けるとどうなるのか、現状環境での考察より今はそっちのほうが楽しみだったりしています。短めですが、分析以上。

▼画像とおまけ:
  おまけというより、今回はこっちがメインな感じに。大海戦に参戦してるNPCってどんなひとたち?という疑問に素直な試みを。意外に各人、興味深い経歴の持ち主です。ただし同名別人の可能性は大いにアリ。

ウィッカム Wickham : 日本の平戸へも来航したイギリス東インド会社の駐在員。1615年に平戸から大阪の同僚へ向けて書いた手紙のなかに“都から良質の茶を一壺送って欲しい”との言及があり、茶について最初に記録を残したイギリス人とされる。通常時NPCとしてはノルウェー付近に登場。
ttp:kks.ed.ynu.ac.jp/sub03/iwakiri/sotsuron-sugawara.html
コッパー Copper? : 15世紀後半ロンドンの商人、バーソロミュー・コッパー。1477年アイルランドでイスパニアのサンチャゴ・デ・コンポステラに向かう300人の巡礼者を持ち船のメアリー号に乗せたが、直後に3隻のアイルランド海賊に拿捕される。
ttp://www31.ocn.ne.jp/~ysino/briship/page007.html
ジョヴァンニ Giovanni : 太郎、ではさすがにどの太郎さんかわからない。ここではフィレンツェ出身のジョヴァンニ・ダ・ヴェラツァーノとしてみる。1524年にフランス王フランソワ1世の後援でたった1隻の船と50人の船員で出航し北米東海岸を探検。1528年にカリブの島々を探索中原住民に殺される。現ニューヨーク港の入り口ヴェラザノ・ナロウスにその名が残っており、マンハッタン島を最初に見たヨーロッパ人とも。通常時NPCとしてはヴェラツァーノ名でアドリア海に出現(キャラック)。
ttp://www.happycampus.co.jp/data/data_view.hcam?no=9890&br_code=1&PHPSESSID

フランシス・カテアン Francis Catean? : 15世紀末から16世紀にかけて北海を根城とした海賊。多くのイングランド商人が彼に200ポンドを供出し、自らの船の北海横断を支援した。通常時NPCとしてはインド南岸沖に出没(ナオ乗船)。ttp://www31.ocn.ne.jp/~ysino/briship/page007.html
アーサー・バロー Arthur Barrow/Ballow? : ウォルター・ローリー(エリザベス1世の寵臣で探検家・文化人としても著名)の命で新大陸に植民地を作るべくアメリカ・ロアノーク島向かった7隻の船団のうちドロシー号を率いた。ttp://www.geocities.jp/archelon_trade/history/people-eng.html
エンツォ・レジオーニ Enzo Regioni/Legioni? : 大航海時代4に登場するポルトガルのマレー総督、ドゥアルテ・ロペス・デ・ペレイラの部下(架空)。通常時NPCとしてはアドリア海を航行(ナオ乗船)。
ttp://www.geocities.jp/archelon_trade/history/people-ven.html
トーマス・ウィンダム Thomas Windom : 17-8世紀を生きたイギリスの貴族。検索にかかったページはその子孫が調査したものっぽい。ttp://www.jackmasters.net/mnotes2.html
トーマス・ボレー Thomas Volley? : 16世紀半ば、サザンプトンを拠点としてブラジルウッド交易に従事した商人。ちなみにブラジルウッドは赤い染料の原料で、ポルトガル領の南米植民地で多く見られたことからその場所がブラジルと名付けられた。ttp://www31.ocn.ne.jp/~ysino/briship/page008.html
aztecia sacrificia, 西へ
●森奥を抜けて
  わいわいと3艦隊を編成し行って来ましたテノチティトラン。以前からプレイヤーが個々に得意分野を発揮し合えるゴールが欲しいと思ってきた身としては、なかなかに楽しめるクエストでした。

  奥地へ分け入り決闘を終えたどり着いた巨大岩のその先に、そびえたつ神殿を中心とする光景が突如開けるという演出もとても良かった。ひさびさにゲーム本体に満足感を覚えた瞬間でした。街にしろそこまでの行程にしろ、もう少し雰囲気に妖艶さがあってもいいかなという思いは残ったものの、街並みのヴィジュアル自体に感動を覚えたという点では、プレイ開始後しばらくしてヴェネツィアへ到達したときに匹敵するものがありました。ちなみに画像左端、部族神の像も映り込んでたり。
  ただDOLにおけるハイライトの一つとしてここまで力の入ったポイントが複数プレイヤーによる相互協力を要するという設定には、その思い切りの良さとは別に、たどり着くためのルートが複数あってもいいとか、こうしたクエストが一つの基軸としてもっとあってもいいという感想も持ちました。ここでは多様性が大事だという思いが底にあるので、前々回記事[麾下の破軍@2月9日]へもつながる話になりますが。

●波沫を越えて
  さて来週は新海域では初の大海戦となりました。わたしの周囲では標的港が東南アジアとなったことを歓迎する声はごく稀なようですが、個人的には実のところ大歓迎だったりします。だって一度はやってみたいじゃないですか(笑)。西地中海や北海での大海戦より嬉しいですね。
  ‘このゲームではこれだけやれていればいい’というスタンスと、‘せっかくならいろいろやってみたいよね’というスタンス、見方を変えれば両者は同じだとも思えるのですが、goodbyeはどうも後者の傾向が強いようです。あらかじめ設定された最終ゴールのないMMOを遊ぶなかで大切なのは、他プレイヤーとの関わりのなかで自分のプレイにどう充足しているかですよね。そしてこの限りでは両者はまったく対立しないし、多様なスタンスを許容するところにこそこのMMOの醍醐味があるように感じています。当たり前のことですが、大事なことです。たぶん。

  ところでDOL公式HPに掲載中の“Chapter3 Spice Islands”の告知、文中に‘一方イスパニアも太平洋を渡る航路で「香料諸島」に到達〜各国の熾烈な覇権争いが〜’とあります。とすれば新章ではマゼラン海峡以西の海域も実装しないことには看板に偽りありな観も生じるわけですが、ま、ないですよね。^^; イスパニアにとって香料諸島は極東ではなく、大西洋のさらに極西に浮かんでいたわけです。以上近況雑感、短めでした。関連のおまけ以下。

ビクトリア号復元プロジェクト:
ttp://www.expoaichi2005.com/jp/html/02programa/02151_historia.jsp

愛知万博スペインパビリオンHPより。パナマとかスエズ通ってます・・・。

Job Description 6: 探検家 【ニュー・ワールド】
  1607年4月、イギリス最初の植民者たちを載せたスーザン・コンスタント号など3隻の船が、大西洋を渡り北米の現ヴァージニア州ヘンリー岬へとたどり着きます。彼らはその後入植に適した土地を求めてジェームス川をさかのぼるのですが、この映画はこれら3隻の帆船による遡行のシーンから始まります。

  静けさのなか次第に曲勢の高まる音楽とともに、半年の航海を終えて入植準備を開始する一行の緊張と、白人たちの到来を迎えたネイティヴアメリカンの一族の警戒心とが一体的に映し出され、繊細な自然描写も交えつつ場面は一気に両者の遭遇へとつながっていきます。映像表現としてこの流れが非常に秀逸で、レンタルDVDを片手間に見始めたのですが映画館へ行かなかったことを即座に後悔しました。しかもたびたび挿入される昆虫や草花の近接ショットに、ああまた“シン・レッド・ライン”のパクりかぁと思って監督名を確認したら、なんとテレンス・マリックその人。後悔はさらに深くなりました。

  なぜこれまでこの作品がノーマークだったかを考えるに、どうも主演のコリン・ファレル(“タイガーランド”,“マイアミバイス”等)ばかりへ光を当てた宣伝に騙されたのかもしれません。彼は出てきた当初こそ注目したものの、演技力よりスター性を前面に出すトム・クルーズやブラット・ピットのような近年の舵取りに少しがっかりしていたんですね。(彼らが嫌いという話ではなく、DVDで観ることが多いという話。) それに加えてテレンス・マリック、まさかこんなにすぐ次作の公開があるとは想像もしなかった。
  この監督が“シン・レッド・ライン”で20年の沈黙を破ったことは映画好きの人間であればいまだ記憶に新しいところでしょう。しかし彼が“シン・レッド・ライン”で果たした功績、他の表現者に与えた影響の深さについてはなお図りがたいものを感じます。近接の映画・TV界のみならず、卑近なところではたとえば井上雄彦『バガボンド』やかわぐちかいじ『ジパング』などにも明らかにこの映画からの援用と思われるカットが諸処に登場したり。

  ともあれ話を本作品に戻すと、作中の主人公は3人。いずれも史実上の人物で、実際にジェームスタウン植民者とパウハタン族との和解を仲介したジョン・スミス、その後同植民州においてタバコ栽培の産業化を主導したジョン・ロルフ、そしてかの有名なポカホンタス。この名を出した途端ディズニーのようなイメージを持たれかねないためここまで控えておきましたが、実際には彼女の目を通した光景が劇中で核となるシーンのほとんどを占めています。
  パウハタン族の生活、身振り、衣装などはとてもよく作り込まれており見る目を存分に楽しませてくれますが、と同時に90年代までこの種の題材を扱う映画がことごとく侵されていた妙なエキゾチシズムに対しても慎重に配慮されており、ポカホンタスがプロテスタントの洗礼を受け欧州へと渡った後半生を描いたシーンにおいてすらこの配慮はまったく欠けるところがありません。ジョン・スミスを想いながらもジョン・ロルフの誠実さに次第に心を溶かしていく彼女は映画の終盤でスミスとの再会を果たすのですが、ここにおいても彼女がしっかりと屹立した個性をもって表出され得ていることはこの種の慎重さが成功を収めていることの何よりの証とも言えそうです。
  クリストファー・プラマー、ノア・テイラーといった脇を固める役者陣も素晴らしく、ジェームス・ホーナーの音楽の良さは冒頭に述べた通りです。いまこの文章を打ちつつ傍らでDVDを観なおしてもいるのですが、この映像の構成力はさすがだと思わせる箇所がそこかしこに散見されます。こうした作り込みかたは、毎年のように作品を量産している売れっ子監督にはまず見られません。一見の価値ありです。

  公式HP: http://www.thenewworldmovie.com/

◇関連の予告など
  思うに大航海時代ほど現代映画の素材に適した舞台も珍しいかもしれません。この時代の思考生活様式のヴィジュアライズは、そのまま‘異世界’との感覚的な邂逅へと展開しうるからです。というわけで、下記作品の日本での公開があり次第、たぶんまた書きます。
"Apocalypto": マヤ文明末期の部族抗争が舞台。過去記事のコメント欄で一度話題になったメル・ギブソン監督がまたやってくれたらしく。駄作でも映画館で観る価値がありそう。[2006年公開@米] http://apocalypto.movies.go.com/
"Pirates of the Caribbean: At World’s End": DOLプレイヤーにはおなじみのパイレーツ・オブ・カリビアン第3作。前作とは同時撮影されたため、こちらを観ないことには第2作についても書く気になれず。スタッフ&キャスト陣もほぼ同じ。[2007年公開@米]
"The Fountain": 作品舞台となる3時代のうち1つが大航海時代。女王の命を受けマヤの密林へ分け入る冒険者が主人公。“π(パイ)”,“レクイエム・フォー・ドリーム”のダーレン・アロノフスキー監督作で、目下売れ線のレイチェル・ワイズ(“ナイロビの蜂”,“コンスタンティン”等)主演。[2006年公開@伊] http://thefountainmovie.warnerbros.com/

"The New World" by Terrence Malick [+scr] / Colin Farrell, Q’orianka Kilcher, Christopher Plummer, Christian Bale, Noah Taylor / James Horner [Music Score] / 149min / US / 2005
鈍の月映え
  新章“Spice Islands”開幕2週前となりました。そこで新港配置の予想など。

  画像中、赤色ピンは既存港、黄色ピンは公式HPにてすでに明言のある新規港、オレンジ色のピンがgoodbyeによる予想新規港です。公式HPでの予告(現在第2回)と4gamer.netでの開発者インタビュー[当該HP2月9日記事]を主な予想材料としました。

▼新海賊島/香料諸島
  見ての通りオレンジ色のピンには半透明のものもありますが、これは自信度の低さを表してます。
  まず新たな海賊島の位置については上記インタビュー記事内に「香料諸島からフィリピンへ抜けるあたりに存在」との言及があり、そのままとればミンダナオ島のダヴァオもしくはその南の小島が有力に思えますが、ナッソーの位置取りを考えるにこの場所では他プレイヤーが手にするだろう新航路に近すぎるとも。そのため少し外れたパラオ諸島内の中核コロールとしてみました。
  また公式HPにて予告済みの黄色ピン4港と海賊島のみが実装された場合、香料諸島からセレベス海にかけてプレイヤー船による縦の動き(南北方向)が新たに誕生するでしょう。ここに横の動き(東西方向)を重ねてプレイヤーの実動域を広げるため、ボルネオ島東岸あたりへも新港が配置されると予測してみました。(サバあるいはボンタンあたり) これらがない場合は同島西岸にクチン。こうした側面では各港の史的なプレゼンスよりもゲーム内の論理が優先されるかと。

▼ブルネイ/ボロブドゥール
  ブルネイについては、公式HP内の予告文に「カリマンタン島の巨大なジャングルへの入り口となっている」との記述があることから郊外MAPの存在が窺えます。個人的にはここに既存プレイヤーの予想の斜め上をいくようなビックリを期待しています。何しろ世界有数のジャングルですから。初の猛獣NPC実装とか。(たぶんない)

  またジャカルタ東部の上陸地点、奥地へのボロブドゥール寺院遺跡の実装は堅いところです。(ここらへんの冒険まったくしてないので既にあったらご容赦を) この上陸地点がなければ南岸の新港ジョグジャカルタ実装に併せて郊外奥地にこの遺跡が来るという予想もありでしたが、既存の上陸地点の位置がボロブドゥールへの意識を強烈に感じさせますから、そう考えるとジョグジャ実装の線は薄そうです。

▼アユタヤ/パダン/ディリ
  スマトラ島パダンの位置にはすでに上陸地点があるので、このあたりに新港追加が来るとすれば南方のベンクーレンになるかも。ディリはまぁ、過去の新港追加をみるに隅っこには港を置きたがる傾向を感じますので。そうすることでプレイヤーをより広域に誘導できるのは安易だけれど確かですしね。
  アユタヤはもし実装されるなら、新海域冒険クエの一典型となっている街なかでの視認発見がありそうですね。さすがにここが他と同じ水上集落型のグラフィックというわけにもいかないでしょうけれど。また実装があった場合、シャム湾奥に陣取るアユタヤ傭兵艦隊はお引越しとなりそうです。
  
  予想以上。実はマカッサル大海戦報告のおまけとして考え始めたのですが、こっちのほうが面白くなっちゃいました。(笑)

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