帆走軍艦の世紀
▼いきなり本題
 
   『帆走軍艦の時代』
   http://jimaku.in/w/tLh8Rf9DX2I/UDHrDP_B_Yb
    ↑まずはご覧下さいませ。できれば音量も大きめで。

  おまけのつもりで作り出したら、妙に力が入ってしまったので「本題」扱いに。(笑) 映画“マスター・アンド・コマンダー”[2006年7月8日記事]のヴィデオクリップを素材にしています。この字幕動画に関連させる感じで、当初予定していた記事構成を逆走していきます。

▼‘大航海時代online’拡張パック第2弾
  3週間後に最初の実装を控え、公式HP内では現在その内容公開が第2回までなされてますね。このなかで個人的に目を引かれたのは、新出である装甲戦列艦の外観として加わる、船尾円形回廊のグラフィックでした。(下記URL・4つ目の画像)
   http://www.gamecity.ne.jp/dol/cruzdelsur/circumnavi2.htm

  このグラフィックからは円形なのは回廊のみで、船尾楼本体は従来の戦列艦の使い回しであることが窺えます。けれども実際的に考えてみると回廊のみを円形とする意義もあまり感じられないので、これはおそらく戦列艦における船尾の形状が角型から円形にシフトした史実上の技術革新を背景におく実装だろうと推測できます。

▼円形船尾と技術革新
  四角状の船尾に比べ、円形状の船尾が敵船からの縦射に対しより強い耐久性をもつであろうことは、後代の人間からみればそれほど想像に難くはありません。しかし欧州の列強諸国がこの点に気づき、円形船尾を国全体の規格として導入したのは意外に遅く19世紀に入ってからのことでした。ほぼ同時期に同種の試みが複数の場所で行われたようですが、たとえば英国海軍が船首の形状において円形構造の強さを実証し船尾へも導入したのが1810年代、フランスが円形船尾を採用したのは実に1830年代。蒸気機関による戦列艦の登場が1852年ですから、帆走軍艦として最後の系譜を彩ったのがこの円形状にそびえる船尾の姿だったことになります。

  ‘大航海時代online’において蒸気船の発明はいくらなんでもないでしょうから、設定上は究極の船体がとうとう登場するのだとも言えます。そう考えてみると、これはなかなかに感慨深いアップデートではないでしょうか。今回の拡張パックの目玉である世界一周航路の確立は16世紀初期、戦列艦におけるこの技術革新は19世紀初期ですから実年代に重ね合わせるとずいぶんと幅のあるアップデートということになりますが、そのことでゲームの魅力が損なわれるようにも見えないあたりに、運営サイドの苦心のあとが感じられますね。部分部分で文句を言うのは簡単ですが、このバランス感覚はやはりプロのものだと思います。

▼祝!新3国実装2周年
  それはそうと‘大航海時代online’の世界にヴェネツィア・フランス・ネーデルランドが加わって、今日で丸2年となりました。新3国・旧3国という切り分けも当初に比べだいぶ意味が薄らいできました。世界周航ルートの開通を控え、ゲーム内の雰囲気もまたゆっくりと変わりつつありますね。
  わたしが初めてこのゲームに課金したのも2年前の今日でしたから、この日は個人的にも思い出深いものがあります。それにこれほど長い付き合いになるとは思いませんでした。(笑) 正直に言って大量の時間をゲームに費やしたことにかなりの後悔や焦りを覚えた時期もありましたが、直接このゲームを通じて、というよりも‘大航海時代online’が傍らにある日々を通して初めて得られたこともまた、思いのほか多くあったようにも感じます。

  たとえば帆船に関する知識など2年前は三角帆と四角帆の違いもわからなかったくらいなのですが、冒頭の字幕動画の作りかけをきのう商会メンバーに見てもらったところ、みごと海事オタクっぽいとの評価をいただきました。(笑) もちろん帆船史の知識などそれだけでは酒の席以外で役に立つことなどきっとないでしょう。けれどそういうことでもないんですよね。

▼艦隊戦術と国家戦略
  せっかくなのでこの字幕動画『帆走軍艦の時代』の作成中に考え至ったことを例に挙げると、動画内には英国海軍とフランス海軍がそれぞれに得意とした艦隊戦術に関するプロットがあります。この両国の戦い方の違いというのは単に得手不得手の問題ではなく、その局地的な戦術的思考のズレの根底に、より大局的な国家戦略の差異がありました。

  海外において積極的な拡大政策を進めつつ国内の工業化を図る英国側にとっては、右肩上がりの隆盛をやめないネーデルランドを牽制する意味でも、とりわけドーバー海峡域での戦列艦隊の集中運用が重要な意味をもったのですね。それに対しあくまで領地内での農業に基盤を置くフランス側はいきおい陸軍への傾注の度合を増し、戦力を集中してくる英国艦隊などはできる限り相手にせず、ゲリラ的に敵性商船を襲うことで通商路に打撃を与える私掠活動へ自国海軍を投じる政策を採りました。こちらは時に敵対状況に置かれたスペイン王家のカリブ領地への打撃をも視野に入れたものでしたが、ともあれこのためにその場その場で相手を押し切れるだけの戦力をもつケースが多かった英国艦隊は拿捕行動も容易な風上側を、ヒット&アウェイを本領としていたこの時期のフランス艦隊は退避に優る風下側を選ぶ必然性が生じたわけです。
  そのようにしてある局地海戦において個別の軍船が遭遇した敵船に対して採る風上に回るか風下に出るかといった判断が、場合によっては世界規模での経済流通状況をも反映させうるということを知ったのは新鮮な体験でした。こうしたことは学校の世界史ではちょっと教わったことがありません。けれども本来はこうした諸事象相互の有機的な連関の様に触れることが、歴史を学ぶ意義でありまた醍醐味でもあるはずなんですよね。

  少し大げさかもしれませんが、そうした思いを込めて作りだしたら今回はオマケが本題になったわけです。(笑) むやみに力が入ったのは自身のプレイ開始2周年ということもあってかも。ご感想ご意見などお気軽にコメントいただければ嬉しいです。
  あとリアル近況少し。自動車の仮免許、とりました。(笑) むだに達成感あったので書いてしまいます。でもマニュアル運転がこんなに繊細だったとは! いつもついアウトからインコースぎりぎりを回ってしまい、注意され続けてます。教官によっては無言でにらまれるようになったり。これはこれでスリル満点な日々かもです>w<

※字幕動画『帆走軍艦の時代』作成上のおもな参考文献: 1. 小林幸雄著 『イングランド海軍の歴史』 原書房,2007 2. Romola & R.C.Anderson著・杉浦昭典監修・松田常美訳 『帆船 6000年のあゆみ』 成山堂書房,2004  なお動画をよく見るとわかりますが、双方の船は必ずしも明確な風上/風下の位置関係を占めていません。そもそもが単艦同士による遭遇戦ですし、そこはあくまで素材に使用したまでと割り引いてご覧いただければ幸。
 
Job Description 10: レンジャー 【ファウンテン 永遠につづく愛】
  中世の甲冑に身を固めたコンキスタドール(征服者)が、罠と知りつつ密林にそびえるマヤの神殿へと足を踏み入れるシーンからこの映画は始まります。故国スペインの女王への忠誠を誓う言葉を口にしながらふりそそぐ矢と槍をかいくぐって男は前進し、急角度で階段状にせり上がった石造神殿の頂きへと辿りつくと、そこには……。

  3つの時代に舞台がまたがり、相互のシーンが激しく入れ替わりながらストーリーは進行します。残る2つの舞台は現代の最新医療の現場と、未来あるいは異次元の宇宙に浮かぶ‘生命の樹’の樹下。この‘生命の樹’についてはオープニング直後に旧約聖書・創世記の一節が示されることで、その所在が作品全体をつらぬくテーマであることが暗示されます。
  創世記において神は土くれから人をつくり生命の息を吹き込むと、東にエデンの園をつくりそこへ住まわせます。このエデンの園の中央に植えられたのが知恵の樹と生命の樹で、‘知恵の樹’の実は知性を、‘生命の樹’の実は永遠の命をもたらしました。よく知られているように人はこの‘知恵の樹’の実を食したことでエデンの園から追放されてしまいます。生命の樹のその後について、旧約聖書はこう記しています。

  ‘こうして神は人を追放した。そしてエデンの園の東に、ケルビムと回る炎の剣を置いて、生命の樹への道を守らせるようにした’ -創世記3章24節

  ではこの‘生命の樹’、現実にはどこにあるのか。あるいはあったのか。こうした設問は一見突拍子もないようにも映りますが、トロイを発掘したシュリーマンを例に出さずとも、神話・伝説の類が現代においてもある一定の真実を含みうると認められていることもまた疑いのないところです。であればこそこのような舞台設定が活きるわけですが、それが象徴的なイメージであればあるほど下手に映像化すれば陳腐かつ悲惨このうえない状況を招きますから、本編中に幾度も‘生命の樹’を登場させてしまう本作の挑戦的な姿勢にはその個別の成否はともかく感心しきりでした。

  監督はダーレン・アロノフスキー。“π(パイ)”[1997]、“レクイエム・フォー・ドリーム”[2000]に続く監督3作目。前2作はその斬新な画作りが注目を浴びましたが、今回はストーリーの規模がまったく異なるのもあってか前衛性の点ではトーンダウンした感じに。
  また彼の作品はどれも実験的な姿勢や思弁的な方向性が強い一方セットや小道具にも力が入っていて、本作でもたとえばスペインの女王から主人公がマヤ探検の密命を受ける場面での、アルハンブラ宮殿を思わせる東西折衷的な王城のつくりなどは意外に見ごたえがありました。そこから突然最新鋭の医療設備が並ぶ全面ガラス張りの研究施設へと画面が切り替わるのですから、これだけでもなかなかに新鮮な映像体験でした。どんなにごたごたしたシーンでも透徹した空気感を出せるところも、この監督の長所かもしれません。
  ただアロノフスキーもまた欧米のこの世代(30代後半〜40代前半くらい)の表現者にはもはや共通すると言ってもよい種の妙な東洋嗜好をもっていて、“π”では劇中の重要なアイテムとして囲碁が登場しましたが、本作でも主人公が作務衣を着て座禅を組むイメージが幾度か登場してきます。異文化に対するリスペクトが十分に感じられるので文句をつける気はないのですが、表面的な東洋理解がこのように記号化されたイメージへと帰結していくのを見ると、何だか‘結局それかい’というような拍子抜け感を覚えるのも確かですね。

  BGM演奏をクロノス・クァルテット(Kronos Quartet)が担当していることも見逃せません。彼らは現代音楽を本領とする弦楽四重奏団なのですが、スティーヴ・ライヒからビル・エヴァンズ、ジミヘンからビョークまでと彼らほど多岐に渡る分野で第一線のミュージシャンと共演してきたグループも他にないんじゃないかというほどに懐の深い実力を備えています。むしろラストのほうなど彼らの演奏のBGVとして映像を観るのもアリかも。
  ちなみに邦題では“ファウンテン 永遠につづく愛”とサブタイトルが付いています。ファウンテン(fountain: 泉)の語はカタカナとしてはこなれてないので副題を付けた意図はわかるのですが、この副題につられ恋愛モノと期待して作品を観るとラストの展開がまったく感情移入しがたいものになりそうであまり良いネーミングとは思えません。といってもまあ終盤のシークエンスは理解しろというほうが無理な種類のものなんですが。
  アロノフスキーがタイトルに“泉”を採用したことには恐らく、前作“レクイエム・フォー・ドリーム”の原作者でありアロノフスキーと共同脚本の筆も執ったヒューバート・セルビー・Jr(Hubert Selby Jr.)の思想が影響していそうです。DVD版“レクイエム〜”の映像特典に入っているインタビューでセルビー・Jrは、‘万物は瞳に映し出された像であり、瞳は万物を映し出す豊穣な泉なのだ!’というようなことを力説しているんですね。すでにかなりの高齢なのですが、よぼよぼになってもエネルギッシュに自らの精神世界を展開させるこういうおじいちゃんってかなり好きです。(笑)

   公式HP: http://microsites2.foxinternational.com/jp/fountain/
   ※ 全国12都市にて目下公開中。たぶん空いてます…。

"The Fountain" by Darren Aronofsky [+scr] / Hugh Jackman,Rachel Weisz,Cliff Curtis / Clint Mansell [music score] / Kronos Quartet [music perform.] / 95min / US / 2006
環世界
  第27回大海戦@マラカイボ、恒例のレポートです。

   初日   : 75勝  4敗  8分け  勝利ポイント 115  戦功 157
   中日   : 82勝 10敗  1分け  勝利ポイント 129  戦功 175
   千秋楽 : 商会艦隊参加

  初日・2日目とノトスサーバでのMVPを獲得。少なくとも数百人が同時参加しているイベントですから、他の誰かではなくこの自分がたて続けに獲ったというのは何だか不思議な気分です。
  3日目は知り合いの商会艦隊に助っ人参加してみました。継続比較の点で意味のありそうなデータでもなかったのでこの日については記載省略、戦功は80代くらいでした。初日と3日目の戦績SSを撮り逃したためもあって画像がやや複雑に。(焦)

▼海戦総覧:
  標的港はマラカイボ(現ベネズエラ・マラカイボ湖畔)、連盟構成はネーデルランド+ポルトガルvsヴェネツィア+イスパニア。総合結果は3797:3765で引き分け判定に。所属するイスパニアの視点でみれば、連日小型クラスでの劣勢が続き、最終日には大型クラスでも負け越したことが数的優位を活かせなかった結果へとつながりました。
  また今回の海戦では、ウィレムスタッド西方にあったNPC艦隊が終始わき続けるエリアでの攻防も大きなポイントとなりましたね。

▼艦隊総括:
  今回、イスパニア模擬同好会からは1ペア艦隊のみの出陣。初日・中日と艦隊からMVPを輩出できたものの、ポルトガル対人艦隊を相手に全滅する戦闘があったりケアレスミスによる連敗があったりと、結果ほどにいい内容とは言えませんでした。goodbye個人は数があぶれたので3日目は別の艦隊へ。

  一年半前、NPC艦隊が実装された当初の売り口上には“NPC艦隊を巡る攻防が鍵となる”との言及がありましたが、ふだんの大海戦では広範囲に平たく沸きすぎるため売り文句通りの戦略的価値は感じられたことがありません。その点今回の大海戦では特定のエリアでむやみに集中的なNPC艦隊の出没があったため、初日・中日の小型クラスでは対人戦に強い自艦隊が敢えてそこへ居座ることでNPC狩りによる相手側の優勢を削ぐ方策を採ってみました。が、ポイント差を覆すには至らず。こうした戦略的な行動はやはり1ペア艦隊が意識したところで無駄でした。(ただ初日・2日目の僅差に対し3日目には100の大差がついてますから、完全に無駄ではなかったのかも)
  今の大海戦が模擬戦の延長とか爵位獲得イベントなどと酷評される理由の1つはここらへんにもある気がします。以前のように全体の艦隊運用を云々する風潮があれば別ですが、現状ではその意思と能力を備えたプレイヤーが現れることもなさそうですね。

▼個人戦績:
   初日   : 与撃沈/拿捕 38  決定打 14  被撃沈 2  与クリ 50  被クリ  8
   中日   : 与撃沈/拿捕 32  決定打 10  被撃沈 3  与クリ 42  被クリ  7
   千秋楽  : 商会艦隊参加

  前回参加の大海戦での初MVP獲得に続いて、今回は2度の獲得。ただ被撃沈の総数こそ抑えられたものの、ここは勝負どころというような戦闘で沈んでしまったのが悔やまれます。(対SMB・青帆など。SMBは3日目のMVP艦隊。以前に比べて本当に粘り強くなりました)
  あとから気づいたのですが、昨年の春からこの春まで続けた“ほぼ固定艦隊”の常連上位10名のなかで、今回の初日・中日の同好会艦隊に参加していたのはわたしの他はヴィディアさんと旗艦のレムオンさんの2人だけでした。艦隊からMVPを出せたのは一重に提督2名の功績によるものですが、艦隊メンバーのなかでふだんの模擬戦などではさほど抜きんでているわけでもないgoodbyeがMVPを連取したことの因子はどうもここらへんにありそうです。安定した環境のなかで長いあいだ続けてきたことが、大海戦での艦隊戦に特化した判断力を磨いてくれたということはある気がします。

  対人戦闘のみでの与撃沈/拿捕の値は初日29、中日26でした。ふだんの大海戦ではgoodbyeによるNPC撃沈はせいぜい1か2なのですが、今回は上記の戦術をとったため、小型での対NPC戦の率が高まりました。修理と外科以外の支援量がアヴェレージかそれ以下にとどまっているのは相変わらず。砲撃力はそれなりになってきたので、この面での向上が今後の課題です。
  次回以降は大型クラスでも新船の投入ほか大幅な仕様変更がありそうですね。戦術的な幅の広がりが出ることを期待しています。

▽おまけ
 
  デ・ロイテル: http://matsumat.hp.infoseek.co.jp/hero11/hero11_001.htm
  マールテン・トロンプ: http://matsumat.hp.infoseek.co.jp/hero13/page1.htm

夏休みの読書のコーナーです。まずは今回の大海戦中にネーデルランドのNPC艦隊として見かけた名提督に関するページ。“ローカル英雄伝”というサイトより。歴史系の読み物としては以下のDOLブログもおすすめ。
 
  ヴェネツィア海洋大学 海洋史学部第三研究室:
                          http://popoloerrante.blog26.fc2.com/
  打倒ローマは一日にして成らず: http://hamilcar.blog64.fc2.com/

めけさんの“歴史ファンの大航海時代”に比べると後発のため未見のかたも多いかもなのでご紹介。 前者ルクレ嬢のブログは歴史の隅っこに隠れてるような小ネタを引っ張ってくるのが上手です。後者バルカさんのほうは最新の記事シリーズ“蒼き狼の末裔たち”がとにかく面白いのでまずはご賞味あれ。ご三方ともノトス在住で知り合い同士なのが何とも内輪っぽい話ですが。(笑) どなたでも似たような傾向のサイト・ブログなどもしご存知でしたらお知らせいただければ嬉しいです。

南十字星下之宵
野菜ジュース+鯛釜めし。goodbyeです。

  拡張パック“Cruz del Sur”開幕を明日に控え、昨夜のうちに釣り師へと転職。新港が増えるときだけ経験稼ぎに冒険職になるというのが、いつのまにか年に1,2度の恒例行事と化してます。

  今回は近況など。まず上の画像は下記ブログ記事の補足というか反証というか…↓
  
   24時間ゲーム@教祖ブログ:
   http://nekokyoudan.blog14.fc2.com/blog-entry-953.html

  ↑この記事中のgoodbyeと交戦している2枚のSSの交戦マークをよく見比べると、アアアアッ!……と事態の真相に気づくひともいるかもしれません。気づいたひとは若干の溜息まじりにいつものことだと優しく微笑んであげるのも良いでしょう。
  しかし負けた戦闘があったのは事実なので、これは反省の至り。積んでいる砲種や相手の職種も戦闘中に忘れるほどに眠かったとはいえ、戦うからには‘やっちゃいけないミス’をしてしまったのが悔やまれます。
  大型アップデート前夜となるきのうは下記ユーザーイベントへ参加。

   スターランドカップ: http://diarynote.jp/d/83362/20070812.html

  事実上の決勝戦となった一戦で、旗艦だったのに浸水撤退クリティカルを受けて撃沈。直前に二隻連続で白兵戦となっていたため‘舵残し’も効かず、回避に加え通常弾防御スキルも発動していたのですが無駄でした。ふだんまったく組まないひとたちだったこともあり、艦隊チャットでの指示を遠慮してしまったのが敗因といえば敗因。
  まぁ記事にする以上はきちんと反省点を書き付けておきたいのでこういうことも考えますが、戦っているさなかはかなり適当に楽しんでました。脳筋艦隊同士ではない気楽さがあって良かったです。

  明日のアップデートでいろいろ変わりそうなこともあり、最近はほとんど動く気力をなくしていました。そこで2度ほどリスボン前でやっている最低耐久模擬へも参加してみました。

   リスボン模擬@能登: http://lismogi.blog101.fc2.com/

  この定例模擬が始まった直後の4月にも2回ほど参加したことがあるのですが、だいぶ様子が変わっていましたね。いまは戦列艦とラ・ロワイヤルが9割、バルティックなどの大型ガレオン級がちょこちょこいるという感じで、軍用ジーベックにペリエを載せた自船の存在はかなり珍しがられてました。
  このいわゆる‘底模擬’、無制限の定例模擬に比べると制約を加えているぶん採りうる戦術や読みの幅も狭まる感じで、艦隊による連携行動の面では要求される思考の層が思いのほか浅いという印象を受けました。そのため単艦レヴェルでの回避操船やクリティカル砲撃の練習には、最大耐久での模擬戦よりも向いているかもしれません。
  ただ底模擬に出続けて与撃沈率が100%を超えたとしても、撃沈へのプロセスが異なるため無制限の模擬ではまったく沈められずに考え込むということはありそうです。見極めうる他船の思考にどう合わせられるかが無制限模擬における精髄とすれば、自船が個別の敵船をどう落とせるかが底模擬での醍醐味とは言えるかも。

▽おまけ

全スキルランク公開:
ttp://nekokyou.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/nekoboard/up/2007082120023038.jpg

  冒険者転職記念に自スキル公開など。危険海域での実戦用に援軍要請スキル、艦隊戦での加速用に逃走スキルもできれば常備しておきたいところなのですが、なかなか思うようには揃ってくれません。ちなみに本記事冒頭の一行はフレのブログ“野菜生活”
http://diarynote.jp/user/75556/ のパロディ。
やさしからずや
【世界独航記ノ壹】
  拡張パック“Cruz del Sur”実装初日、夕刻。INすると暗転したまま画面に「1522年9月6日―」との白文字が浮かび、世界周航イベント発生。一昨夜セビリアの出航所内で落ちたため、接続と同時にイベント開始のトリガーを引いたらしい。以下簡略に初周航の顛末と雑感を記す。

■出航準備
  南太平洋の入港許可証がいきなり下りたことに驚きつつも、さっそく遠洋航海の準備へ。携行武装を高性能低耐久の対人海賊用と、イベント中に発生するかもしれないNPC戦用とでしばし迷い、いざ出くわしたとき後悔せずに済むという理由で前者を選択。海軍要請書、略奪命令書、対NPC用上納品など、しばらく手にすることのなかったアイテムも所持枠へ。
  
  出航前、今日から開校された航海者養成学校へも顔を出してみる。支給された制服の素っ気なさはなかなか悪くない。ただこれを着たチビっ子たちがわらわらと群がる光景は、なぜホウキも一緒に支給しないのか不思議なくらいにマジカルな気はする。
  新装されたスクールチャットへも入ってみるが、しばらくするとネタバレ的な発言が目につくようになり退室。当人は親切のつもりなのだろうし、何が聞きたくて何が聞きたくないのかはそれぞれに違うから、結局こういうときは耳をふさぐのが一番いい。同様の理由で商会チャットもしばし不在の旨通知して非表示に。

■大投資戦勃発、そして出航
  そうこうしていると、なんと「ワンガヌイにて大投資戦が発生!」とのアナウンス。聞いたこともない、つまりたった数時間前に実装されたばかりの新港で発生させてしまう運営の破格ぶりにひたすら唖然。寡聞にしてこの地名を知らずどんなところか予想もつかないが、これで対人戦闘の可能性が一気に増大したのは確実。積載武装を追走/退避用の長距離砲主体から撃沈目的の名匠カロネード砲主体へと転換。

  そして出航。

  北アフリカ西岸沖、ラスパルマスにて周航イベント主人公の一人らしき、エレナ嬢が乗船してくる。こういう萌え系の美少女キャラクターが何ら悪びれずシナリオの中軸に居座るのは信頼に足るリサーチの産物なのか、単なる制作陣の趣味の問題なのか毎度のことだが悩ましい。すぐに馴染める自分もこわい。
  お呼びがかかった多国籍の軍人チャットやイスパニアの海賊討伐チャットからは新船の性能情報や敵性海賊の動向が流れてくる。この種のネタバレであればいくらされてもわたしの場合はむしろ好める。通航中のカナリア沖でイングランドの海賊船が検索にかかり、チャットに同室するプレイヤーが交戦するも単艦レヴェルのため自船は先を急いでそのまま南下。リオ〜ブエノスアイレス〜ウシュアイアと寄港しつつシナリオを進め、マゼラン海峡を越えて航路を真西へ。

  ちなみに今回のメイン船に選んだのは軍用ジーベック。ローズウッド製18%減量、連携強化スキル及び重量砲撃スキル搭載。最低耐久だが対海賊の追撃/退避戦にはじゅうぶん耐えうる。何よりジーベック系に特有の流線型船体にローズウッドの濃い赤紫はよく映える。自称むらさき芋。高速船の速度変更も事前に告知されていたが、この船もその恩恵を受けたらしく体感的にも早くなった。波の高い海域を通過するため対波性能に乏しいラ・ロワイヤルはサブに回し、戦列艦とともに一応携行はしておいた。

■ワンガヌイ実戦
  ワンガヌイは現ニュージーランド北島の南岸に位置している。ゲーム内では港を出てすぐ向かいに南島が大きく横たわる。つまり両島に挟まれる形で、港への通航路は南東方向(現クック海峡)と北西方向(現タスマン湾)に限定されることになる。
  その港であろうことか実装初日の夜、大投資戦が起きた。ワンガヌイは世界周航イベントのルート上にあり、大投資戦など勃発せずとも今日はあまたの船がマゼラン海峡から南太平洋を横切って南東方向から入港し、次の寄港地へと向けて北西方向へと抜けていく日なのだから、対人海賊が群がる条件としてはこのうえない。実際自船が南東側の海峡へと進入した時点ですでに敵味方双方の海賊艦隊や討伐艦隊が視認され、港へと入るとさっそく現地にいるポルトガル海賊主体の対人チャットからの呼び鈴が響いた。

  このところ基本的にフェアな状況下での艦隊戦しかしていなかったこともあり、一戦ごとに勢力の優劣が目まぐるしく変わり、非対称の戦闘が連続する危険海域での実戦はかなりの手応えがあった。
  が、一般の商船・冒険船への敵性艦隊による襲撃を妨害すべく、追加帆も未装備な状態で交戦して1vs4となり拿捕されたり、職業が釣り師であるにも関わらず本職軍人相手に前のめりに機雷戦を仕掛けたあげく修理が追いつかずに沈んだりと惨敗も目立った。艦隊戦となった際にも、お互いに敵旗艦を落とすことが最終目的の大海戦や模擬戦とは優先すべき判断軸がまるで異なるため、援軍への入りかたなど久々ゆえのミステイクを連発。随所に甘さが出た。
  トータルでは5500万Dほどの賞金収入と、フル耐久の最高貫通カロネード砲14門を獲得。被害は被拿捕時の所持金24万Dと真鯛一樽のほかは耐久損耗のみ。戦利品の大砲は1on1を戦った敵海賊から味方船が獲得したのち譲り受けたものだが、収奪される可能性の高い海賊船にこんなにも高価な砲を載せるものなのかと少し驚く。意気込みの差とも。

■終息
  勢力としては海賊船が各々10隻前後に賞金稼ぎが数隻ずつ加わって、離席その他で陣容は入れ替わりつつも大投資戦の終了まで衝突が続いた。衝突の主局面では賞金の懸かっていないわたしのような賞金稼ぎが一方的に儲かってしまうわけだが、その合間あいまや大投資戦の終了後も数時間にわたって往来する一般船が次々に襲われていたようだから、この夜の海賊側のゲインはおそらく自船の比ではない。
  大投資戦そのものは終了後のほうが投資行動が活発化する風景もすでに見慣れたものとなり、発生誘導の操作も含め現状どうにも急造感の目立つシステムと言わざるを得ない。

  結果としてこの夜は、冒険経験の獲得チャンスを少しでも活かしたいという貧乏根性による転職が仇と出る局面もあったが、冒険職なのに戦闘機会は逃したくないという欲張り根性に発する武装選択は大いに活きた。人生なにがどう転ぶかなんてわからない。わからないほうがたぶんいい。 といきなり締める。
  画像はそのワンガヌイにて。せっかくなので冒険職限定のベルベットジュストコールを着用、蒼穹に向かいて一心にアピールするの図。この画像を撮るべく新出のエモーションを幾度も繰り返していたら、通りがかった初見のプレイヤーからありがたくも「ブログ読んでます〜」とのTellをいただいた。やや、赤面。

―1522年佳月佳日 筆
 
ゆめからずや
【世界独航記ノ貮】
  新港ワンガヌイにてIN。正規の世界周航ルートに従えば、次の寄港地はマニラとなる。航路はここで大きく北西へと角度を変えるわけだが、自船はこのルートを一旦外れることにする。マゼラン海峡以降の真西への針路をさらに継続、目指すは未知の大陸オセアニアの陸影ただ一つ。

■マオリのひとびと
  ところで昨夜はこの港の実装初日に起きた大投資戦の渦中にいたため気にもとまらなかったが、よくみるとワンガヌイで交易品や料理を扱う人々はみな現地先住民の格好をしていた。つまり交易所の店主も道具屋の主人もみなマオリの民ということになるが、彼らの物を商うセリフからして早くも貨幣経済が深く根づいてしまっているらしきあたりなど、何だか微笑ましくもありまた若干の痛々しさも感じてしまう。
  そもそも本来ならば投資がどうのという前に、マオリを含むポリネシア一帯の文化圏において貨幣交換とはあくまで祭儀的象徴的な営為であり、日常的な水準では物々交換が基盤の社会であったように思う。大航海時代の航海者が多くの海でそうしたように、原住民から物資食糧をもらう代わりに積み荷や所持品のうちより対価を渡す、というようなシステムがあってもきっと楽しいだろうと思う。所持枠が大変なことになってきそうだけれど。

  にしてもこの土地で目にする料理のレパートリーは強烈だった。料理人が見せるレシピ名だけ並べてみても、芋虫焼きの作り方、ワニ肉串焼きの作り方、カンガルー肉の煮込みなどいずれもプリミティヴなムード満載で、まさかイモムシが交易品の一つとして登場するとは予想の遥か上空を行かれた感が濃い。
  そのくせ木槍などは欧州で手に入るものとまったく同じなのだけど、実際には地球の反対側の先住民が作った武器や民芸品の類はこの時代、欧州に持ち帰ると手持ちサイズのものでも好事家の貴族に売れば家が一軒建ったとか建たないとか。とはいってもこういうことでこのゲームにケチを付けたい心地にはならず、プレイするうちにこうしてあれこれ想い巡らせてしまうことそのものが面白い。

■珊瑚海とキャプテン・クック
  さてワンガヌイを出航しニュージランドの南北両島を一周したあとは、見渡すかぎり何もない海原を真西へと針路を採った。一週間ほど一直線に船を進めると、正面に大きく横たわる未知の大陸がゆっくりと姿を現した。ここで岸に沿って舳先を北方向へと転舵する。しばらくすると海域表示がタスマン海からコーラル海へと切り替わった。

  コーラル海(Coral Sea=珊瑚海)の名が示すごとく、オセアニア大陸の北東岸には果てしなく広大な珊瑚礁群が連なり航海の難所となっている。大堡礁、いわゆるグレートバリアリーフがそれである。
  世界周航にかかわる大航海時代の著名な航海者としては、最初に志したフェルディナンド・マゼランや二番目に達成したフランシス・ドレークと並び、ジェームズ・クックの名を挙げる声も多いだろう。クックは18世紀のひとだからマゼラン、ドレークとは生きた時代を2世紀ほど異にするが、史実でこのコーラル海を抜けオーストラリアの東海岸に到達した最初の欧州人は彼である。
  つまり言い換えるならクックまでの200年間、グレートバリアリーフの存在がこの到達を阻んできたとも言えるだろう。クックの功績の裏には、座礁によって船を損傷させつつも敢えて挑む積極姿勢があった。航海の安全を期すならそれは避けるべき蛮勇であったろうし、船員にはそうした危険を望まぬ者も多かったろう。何より船を失えば、生きながらえたとしてものちのち提督としての職責を厳しく糾弾されることになる。
  それに比べると、ゲーム内でのこの海域は平穏なこと極まりない。わたしが通過した限りでは、沖合で座礁することも皆無であった。これはこれで寂しい気がしなくもない。

■カカドゥの奇跡
  自船はその後オーストラリア北岸のカカドゥを発見。画像はこの土地で出会ったヴィディア姫と撮ったもの。新港到達を祝いて奇跡の水上踊りの図。航海者養成学校にて支給されたマジカル服の効果である。
  マングローブの樹と蓮の花が特徴的なこのエリアは、現代では世界自然遺産にも指定されている名勝地。40万年前から人が生活した形跡があり、この地にみられるアボリジニによる壁画には制作年代を紀元前5000年に遡るものもあるという。たかだかここ2、300年のヨーロピアンによる到達やら領有やらが果たしてどれほど重要なことなのか、こうしたスケールの前では霞んでみえるとしてもあながち憶見とは言えないだろう。

  ヴィディア姫はここで入浴などして本来の周航ルートへと北上していったが、自船はここからさらに南西へと沿岸探索を進めていくことにする。東洋の古僧はかつてこう書き遺したという。「この途をいけばどうなるものか危ぶむなかれ、危ぶめば途は無し。踏み出せばその一足が途となり、つぎの一足が途となる。迷わずいけよ、いけばわかるさいちにさん」
  あごの出た格闘家の言葉とする説もある。いずれも俗説の域を出ない。
  
―1523年良月良日 筆
 
いくせにまどう
【世界独航記ノ參】
  実をいうと、オセアニア大陸に新港はない可能性も感じていた。地理的な拡張はいつも小出しなのが運営サイドの手法だし、世界周航へ出るより先にワンガヌイの存在を大投資戦によって告知され、そのワンガヌイで次の寄港地はマニラとされたから、余計に望み薄と思えた面も強い。

■トレス海峡雑感
  それだけにオセアニア大陸の東岸沖を北上し、北端のトレス海峡を通過してのちカカドゥの港が視認されたときなどは、まさしく“発見”の気分を味わえて楽しかった。これぞ探検的航海の醍醐味という感じだったが、と同時に‘大航海時代online’の世界では今回の拡張パックでこの大陸の位置修正が特に為されなかったことも発見(確認)し、こちらは少し微妙な気がしないでもない。

  たとえばジャカルタやスラバヤ、ディリなどのある小スンダ列島とオセアニア大陸は現実には小海を挟み隣接していて、ディリからカカドゥまでの航行距離は実のところディリから香料諸島までのそれと大差ない。ゲーム内では前者が後者の優に5倍は引き離されている。
  それどころか香料諸島の東隣を大きく占めるニューギニア島に至っては、ジェームズ・クックが18世紀に確認するまでオセアニア大陸と地続きと考えるのが常識だった。まだ南極大陸が伝説上の存在に過ぎなかった当時のヨーロッパ社会において、世界で5番目に大きな大陸と世界で2番目に大きなその島は“現実的に”一つの陸地だったのだ。当時の航海者から見ても、両者の位置はそれほどに近しいものだった。

■まったいらな世界
  ‘大航海時代Online’が描く世界と現実の世界とのこのような地理的な差異は他にも多々あるが、もっともわかりやすい違いを一つ挙げるならそれは何といっても、このゲームでは世界が“まったいら”であるということだ。
  ゲームの序盤で近海を往き来しているうちはあまり気にならないし、ひとたび慣れてしまえばどうということもないけれど、ゲームを始めて地中海や北海を出て大西洋を渡る頃にはおそらく、地理や歴史に関心のあるプレイヤーの多くがこのことに一度は違和感を覚えた経験があるはずだ。なぜならメルカトール式に2次元平面へと投影されたこのゲーム内世界の在りようは、その投影による南北端の“間伸び”を是正すべくさらなる地図のデフォルメが行われた結果として、球状に展開した現実の大航海時代における“世界”との間に局所的にはかなり壮大な食い違いを見せているからだ。

  たとえば現在の歴史では、一部のヴァイキングはヨーロッパ中世のかなり早い段階で氷床づたいに北米大陸へと渡航したことが検証され、ネイティヴ・アメリカンのDNA鑑定によってもこの説が裏付けられて久しいが、‘大航海時代Online’の世界ではスコットランド北方のシェトランド諸島からアメリカ大陸北東端への距離が開きすぎて実現性に欠けてしまう。
  また投影図のマジックによって、本来の直線航路が‘大航海時代Online’の世界では曲線航路へと歪められることになる。地球儀の球面上に糸を張ればわかりやすいが、たとえば今回の世界周航イベントよろしくマゼラン海峡を出て真西方向へ一直線に進むと、現実にはメラネシアより手前で赤道を越えることになる。逆にゲーム内での周航ルートを実際にたどるなら南方向へ微細に舵を切り続ける必要があり、もしニュージーランドへ一直線に向かおうと思ったら今度は無駄に南極圏を突っ切ることになる。零下20度を超え、ちょっと寒い。
 
  ただこうした食い違いで目につくのはむしろそれらに対して施された工夫のほうで、一例を挙げれば緯度の高いエリアにあっては南北方向の距離が東西方向の距離に比べて意図的に著しく短縮されている。こうすることで、高緯度圏では世界そのものの間伸びによりどこへ向かうにもやたらと時間をとられる事態から、とりあえず半分は解放されることになる。
  このおかげでアフリカ大陸や南米大陸の南半分は不格好に矮小化されており、オセアニア大陸に至ってはぺしゃんこに押しつぶされた形となってしまったが、よくよく考えてみればたかがゲームの舞台設定でここまで現実世界との整合性をとることへの苦心を迫られるケースというのも面白い。カカドゥの港を出たあと自船は引き続きオセアニア大陸の沿岸探索を続けたが、北岸を横切るのに比べて西岸を縦断するのはやけに早かった。

■南極大陸は実在するか
  その後はオセアニア大陸の西岸から南岸へとまわる。視野の左半分にはつねに、上陸地点の一つすらない海岸線がどこまでも続いていく。右方向には水平線のほか何もない。減量上限、砲室最大の改造を施した軍用船に戦闘要員を満載させてこんな僻地を航行している自分が何だか、とてもかわいそうに思えてくる。そしてそろそろ生まれてきた理由でも見つめなおそうかと思えてきた矢先、前方にタスマニア島の陸影が姿を現した。良かった。南側から島を周回していくと、東岸に新港発見。たちまち入港。

  ところで先に述べた球体の現実世界と平面のゲーム内世界との地理的な食い違いを是正する工夫によっては、絶対に乗り越えられない壁が一つある。そう、南極大陸の存在だ。
  しばしば「地理的発見の時代」とも言い換えられる現実の大航海時代にあっても、南極大陸の存在は最後まで神秘であり続けた。すこし皮肉な話だがこの時代の終わり、それまで伝説上の存在だった南方大陸の実在を最終的に否定したのはかのキャプテン・クックそのひとだった。1773年クックは現在把握されている人類史上初めて南極圏へ突入、南緯71度10分にまで到達、凍てつくその世界にはもはや何もないことを“発見”した。
  けれども彼がまぎれもなく大航海時代の英雄の一人である以上、‘大航海時代Online’の世界にもいつか南極探検シナリオの実装される日が来ないとも限らない。というより将来的にはぜひとも期待したい。ただこの大陸の地図的な整合性についてはこれはもう、現状のシステムでは諦めるしかないものがある。どこまでも、でかい。以上。

  画像はタスマニア島の新港ホバートにて。なんとなくシコを踏んでみた。しかしこの港集落のグラフィック、あたかも常夏の楽園を思わせる風だが同緯度で北半球に換算するとホバートは函館よりも北にある。へそ出しルックが正しいスタイルなのかはわからない。

―1523年嘉月嘉日 筆
 

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